映画『赤い風車』(原題:Moulin Rouge)は、1952年に公開されたイギリス=アメリカ合作の伝記ドラマです。
19世紀末、パリ・モンマルトルの華やかなナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」を舞台に、実在の画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの波乱に満ちた半生を描いています。
監督は『マルタの鷹』『アフリカの女王』などで知られる名匠ジョン・ヒューストン。
主演のホセ・ファーラーが、ロートレックとその父アルフォンス伯爵の二役を演じています。
芸術と孤独、愛と挫折を重厚に描いた名作です。
映画「赤い風車」解説

19世紀末のフランス・パリ。
華やかなムーラン・ルージュの裏で、ひとりの天才画家が自らの運命と闘っていました。
伯爵家に生まれながら、事故により身体に障害を負ったアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック。
上流階級から離れ、貧しい街の人々や踊り子たちを愛し、描き続けた画家の人生を、色彩豊かな映像とともに描いていきます。
本作はアカデミー賞で美術賞とカラー撮影賞を受賞し、当時としては革新的な色彩表現と構図が高く評価されました。
- 監督:ジョン・ヒューストン
- 脚本:ジョン・ヒューストン/アンソニー・ヴェイル
- 製作国:イギリス/アメリカ
- 公開:1952年
キャスト
- アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック/アルフォンス・ド・トゥールーズ=ロートレック伯爵:ホセ・ファーラー
- アデル・ド・トゥールーズ=ロートレック伯爵夫人:クロード・ノリエ
- マリー・シャルレ:コレット・マルシャン
- ミリアム:シュザンヌ・フロン
- ジャンヌ・アヴリル:ザ・ザ・ガボール
- ジョルジュ・スーラ:クリストファー・リー
映画「赤い風車」あらすじ・ネタバレ



パリ・モンマルトル。
夜ごと赤い風車が光るキャバレー「ムーラン・ルージュ」では、華やかなショーが繰り広げられ、踊り子たちの笑い声が響いていました。
その片隅で、踊り子たちをスケッチする小柄な男がいます。
名はアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック。
由緒ある伯爵家の生まれでありながら、幼少期の事故によって足に障害を抱え、成長が止まってしまった画家でした。
父アルフォンス伯爵は狩りを愛する典型的な貴族で、息子の障害を「家の恥」として扱い、母アデルもまた心を閉ざしていきました。
居場所を失ったアンリは家を離れ、モンマルトルの街で自由に生きることを選びます。
そこには酒場、芸人、娼婦、そして芸術がありました。
娼婦マリーとの出会いと別れ
ある夜、アンリは警察に追われる娼婦マリーを助け、自宅に泊めてあげます。
粗野で気まぐれなマリーでしたが、その明るさにアンリは次第に惹かれていきます。
翌朝、マリーはドレスをねだり、金を受け取ると家を飛び出してしまいます。
裏切られたアンリは落胆しますが、数日後、マリーは「妹の看病をしていた」と弁解して戻ってきました。
アンリはマリーを許し、二人は同棲を始めます。
アンリはマリーをモデルに絵を描き始めますが、やがてマリーの気性の激しさがぶつかり合い、喧嘩が絶えなくなります。
ある夜、障害を罵られたアンリは絶望し、マリーを追い出します。
しかしマリーのことが忘れられず、街をさまよい探し続けました。
バーで出会った男に「マリーならブランシェット通りにいる」と聞き、アンリはそこへ向かいます。
再会したマリーは酔い潰れ、見る影もなく堕落していました。
アンリを見ると、「足の悪い金づる」と暴言を吐きます。
その一言で、アンリの心は完全に崩れました。
絶望の果てにガス自殺を試みますが、絵を描く衝動が再びアンリを救いました。
画家としての名声と新たな愛
アンリは再びムーラン・ルージュを訪れ、描いた絵を仲間に見せます。
踊り子たちはその独自の色彩と構図を称賛し、アンリはリトグラフに挑戦。
完成したポスターはパリ中に貼られ、大評判となります。
しかし、父アルフォンスは「一族の恥」と怒り、息子を家族から除名しました。
1900年。アンリは芸術家として成功を収め、王侯貴族の依頼も受けるようになります。
そんな中、美しい女性ミリアムと出会います。
ミリアムは自立した女性で、アンリの絵の熱烈なファンでもありました。
その知性と優しさに触れ、アンリは初めて“尊敬できる愛”を感じます。
しかし、ミリアムの周囲には富と地位を持つ男たちが集まっていました。
アンリは劣等感と嫉妬に苦しみながらも、「愛している」と言うことができません。
やがてミリアムは他の男マルセルとの結婚を決め、アンリのもとを去ります。
芸術と酒に溺れた晩年
ミリアムを失ったアンリは、再び酒に逃げるようになります。
体は蝕まれ、幻覚に襲われるほどのアルコール依存に陥っていました。
ある夜、泥酔状態で階段を踏み外し、重傷を負います。
病床に伏したアンリのもとに父アルフォンスが訪れ、ルーヴル美術館にアンリの絵が展示されることを告げ、長年の確執を詫びます。
意識が薄れる中、アンリの脳裏にはムーラン・ルージュの賑わいが蘇ります。
踊り子たちの笑顔、音楽、絵筆の感触。
人生のすべてを懸けて描いたあの世界の中で、アンリは静かに息を引き取りました。
短い生涯でしたが、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックが残した絵画は今もなお“芸術の情熱”を語り続けています。
映画「赤い風車」感想
映画『赤い風車』を観終わったあと、心の中に不思議な静けさが残りました。
派手なキャバレーの照明や音楽よりも、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの孤独と情熱のほうが強く焼き付いたからだと思います。
ロートレックは、身体に障害を抱えながらも、誰よりも“生きること”を描こうとした画家でした。ムーラン・ルージュの踊り子たちや酔っ払い、娼婦たち――どんなに俗っぽく見える人たちの中にも、美しさを見いだしていました。その眼差しが、映画の色彩や構図からも伝わってきます。まるで一枚の絵の中で時間が流れているような感覚でした。
印象的だったのは、愛の描かれ方です。ロートレックがマリーやミリアムに向けた想いは、どれも不器用で、どこか痛々しい。でも、そこに“人を愛したい”という切実さがあって、胸を締めつけられました。とくに最後、病床でムーラン・ルージュの賑やかな夢を見ながら息を引き取るシーンは、涙というよりも温かい余韻が残ります。
この映画の魅力は、華やかさの裏にある“人間の哀しみ”を丁寧に描いているところです。ジョン・ヒューストン監督の演出はどこまでも誠実で、派手なドラマではなく、ひとりの芸術家の心の奥を静かに見つめています。
観終わったあと、ロートレックが描いたポスターをもう一度見たくなりました。絵の中の踊り子たちは、今も彼の魂の中で踊り続けているように思えます。
華やかさと孤独、成功と挫折――そのすべてを抱えて生きたロートレックの人生は、まるで“人間そのもの”の縮図のようでした。
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まとめ
『赤い風車』は、ロートレックという一人の天才画家が、愛に傷つき、孤独を抱えながらも芸術にすべてを捧げた姿を描いた作品です。
華やかなパリのナイトクラブと、孤独な芸術家の対比が強烈で、映像の一枚一枚がまるで絵画のように美しい。
色彩と音楽、そして人間の哀しみが見事に調和したこの作品は、ジョン・ヒューストン監督の代表作として今も語り継がれています。
芸術の裏にある痛みと、創造の喜び。
その両方を描き切った、まさに“絵画のような映画”です。

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