映画「メアリーの総て」は、世界的名作『フランケンシュタイン』を生んだ若き女性作家、メアリー・シェリーの愛と苦悩を描いた伝記ドラマです。
監督はサウジアラビア初の女性映画監督ハイファ・アル=マンスール。主演はエル・ファニング。
「怪物を生み出したのは誰か?」――その問いに、物語は“創作の痛み”と“愛することの残酷さ”で答えていきます。
幻想的な映像と文学的な台詞、そして時代を超えて響く女性の葛藤が印象的な一作です。
映画「メアリーの総て」解説

本作は、19世紀初頭のロンドンを舞台に、詩人パーシー・シェリーとの愛に生きた少女メアリーが、いかにして『フランケンシュタイン』という革新的な小説を書き上げたのかを描いています。
「愛」「自由」「創造」「喪失」――どの言葉もメアリーの人生に深く刻まれています。
作家としての苦悩と、女性としての生きづらさ。
誰もが知る怪物誕生の裏には、若き女性の絶望と再生の物語がありました。
- 監督:ハイファ・アル=マンスール
- 製作:2017年/イギリス・ルクセンブルク・アメリカ合作
- ジャンル:伝記・ロマンス・文学ドラマ
キャスト
- エル・ファニング(メアリー・シェリー)
- ダグラス・ブース(パーシー・シェリー)
- トム・スターリッジ(バイロン卿)
- ベル・パウリー(クレア・クレアモント)
- ベン・ハーディ(ジョン・ポリドリ)
- スティーヴン・ディレイン(ウィリアム・ゴドウィン)
映画「メアリーの総て」あらすじ・ネタバレ
19世紀初頭のロンドン。
少女メアリーは母の墓のそばで怪奇小説を読みふけっていました。
父は思想家ウィリアム・ゴドウィン、亡き母はフェミニズムの先駆者メアリー・ウルストンクラフト。
父の書店を手伝わず、創作に夢中なメアリーは継母と衝突しがちでした。
眠れぬ夜には母の著書を読み、言葉の力に触れ、自分も“書く人間”になりたいと願います。
スコットランドでの出会い
不仲を心配した父は、メアリーをスコットランドの友人宅へ預けます。
自然豊かな土地で、同じく母を亡くした娘イザベルと心を通わせるメアリー。
ある夜、詩人たちが集う読書会で、若く自由な思想を持つ詩人パーシー・シェリーと出会います。
二人はすぐに惹かれ合い、文学と理想、そして愛を語り合うようになります。
禁断の恋と駆け落ち
ロンドンに戻ったメアリーの前に、再びシェリーが現れます。
彼はメアリーの父に弟子入りしますが、真の目的はメアリー本人でした。
雨宿りの教会で交わした口づけが、運命を変えます。
だが、シェリーには妻ハリエットと子どもがいました。
自由恋愛を説いていた父も、この関係だけは認めません。
それでもメアリーはシェリーと駆け落ちします。同行したのは妹分のクレア。
三人の逃避行が始まりました。
苦しい現実と喪失
勘当されたシェリーには収入がなく、三人の暮らしは貧困そのものでした。
やがてメアリーは妊娠しますが、娘クララは誕生してまもなく命を落とします。
愛と理想を信じて家を出たメアリーを襲ったのは、現実の冷たさでした。
生体電気でカエルの死体を動かす科学ショーを見たメアリーの胸に、“死から生命を作る”という奇妙な発想が芽生えます。
それは、後に小説『フランケンシュタイン』へとつながる最初の閃きでした。
バイロン卿の別荘での夜
絶望に沈むメアリーを誘い、クレアは詩人バイロン卿の別荘へ向かいます。
バイロン卿は刺激的で破滅的な人物。シェリーもその雰囲気に呑まれていきます。
ある夜、嵐の中でバイロン卿が提案します。
「皆で一つずつ怪奇譚を書こう。」
その夜、メアリーは雷に打たれ蘇る“死者”の夢を見ます。
母の墓、亡き娘、愛の喪失、そして孤独。
それらがすべて混じり合って、一つの物語の核が生まれました。
『フランケンシュタイン』の誕生
ロンドンに戻ったメアリーは、止められないように筆を走らせます。
「人が命を創るとき、何が生まれるのか?」
若き女性が書いたとは信じがたいその小説は、出版業界を驚かせました。
しかし、出版社は“女性が書いた”ことを信じず、シェリーの名で出版することを条件にします。
初版500部、『フランケンシュタイン』は匿名で世に出ました。
世間は作品を絶賛しつつも、作者が女性だとは夢にも思いません。
結末:名を取り戻した作家
時が経ち、メアリーとシェリーは別居します。
彼女の元に訪れた医師ポリドリが、自らの短編『吸血鬼』が誤ってバイロン卿の名で発表されたことを嘆きます。
二人の会話を通して、メアリーは「作品が誰の名で語られるのか」という問題に改めて向き合います。
出版記念会の夜、メアリーの父とシェリーが出席する中で、シェリーは語ります。
「この作品は私のものではない。絶望の中から生まれた、メアリー自身の声だ。」
年月が流れ、街の書店に並ぶ『フランケンシュタイン』の新しい版には、ついに“著者:メアリー・シェリー”と印刷されていました。
映画「メアリーの総て」感想
映画「メアリーの総て」を観て、一番強く残ったのは「創作って、こんなにも孤独で、こんなにも美しいものなんだ」という気持ちでした。
タイトルの「総て」という言葉の通り、この作品にはメアリー・シェリーという一人の女性の“すべて”が詰まっています。恋も、喪失も、怒りも、そして創造の苦しみも。静かに燃えるような映画でした。
エル・ファニングの演じるメアリーは、とにかく繊細で真っすぐです。
愛する人を信じて家を飛び出したときの純粋さと、その先で味わう現実の痛み。
どちらも嘘じゃない。
だからこそ、彼女が書き上げた『フランケンシュタイン』には、人間の弱さと強さの両方が滲み出ているように感じました。
特に印象に残ったのは、バイロン卿の別荘で嵐の夜に夢を見た場面です。
雷の閃光、ざわめく空気、メアリーの瞳の奥に浮かぶひらめき。
あの瞬間、「創作」って何か特別な才能よりも、“痛みを手放さない勇気”なのかもしれないと思いました。
誰もが目を背けたい現実を、物語という形で見つめ直す。
その強さに心を打たれました。
メアリーの生き方には、今の時代にも通じるものがあります。
周りから「女のくせに」「若いのに」と見下されても、自分の声を信じて書き続けた。
それは、SNSで自由に発信できる今の私たちにも刺さるテーマです。
どんな時代でも、“本当に伝えたいこと”は、自分で書くしかないんですよね。
物語の最後、書店のショーウィンドウに「著者:メアリー・シェリー」と印刷された本が並ぶシーンでは、胸が熱くなりました。
あの一冊は、ただの小説じゃない。
誰にも認められず、愛にも裏切られ、それでも“生きて書くことを選んだ女性”の証です。
静かで、悲しくて、でもすごく前向きな終わり方でした。
観終わった後、しばらく言葉が出ませんでした。
音楽も映像も美しいのに、心の奥にずっと沈殿するような余韻が残る。
「天才作家の伝記映画」なんて枠では語れない、人間としての物語。
まるで一枚の古い手紙を読んでいるような、やさしい時間でした。
正直、派手さも劇的な盛り上がりもありません。
でも、この映画には“痛みの静けさ”があります。
そしてその静けさが、メアリーという人の強さをいちばん美しく映していました。
今でもふと、「自分の声で書くってどういうことだろう?」と考えるたびに、この映画を思い出します。
それくらい、心の奥に残る作品でした。
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まとめ
映画「メアリーの総て」は、単なる伝記映画ではなく、“創造することの痛み”と“愛することの孤独”を描いた深い人間ドラマです。
メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』を生み出すまでの過程には、女性として、作家として、そして一人の人間としての強さと脆さが交錯しています。
この作品を観ると、「作品を書く」という行為がどれほど個人的で、同時に普遍的な行動なのかが伝わってきます。
愛に裏切られ、社会に押しつぶされそうになっても、自分の声を信じて書く——その姿に、多くの人が共感するのではないでしょうか。
静かで、詩的で、そして力強い映画です。
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