映画「しあわせの絵の具」実話のモデルは誰?映画と実話の違いも紹介

映画「しあわせの絵の具」実話のモデルは誰?映画と実話の違いも紹介
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色が少ないはずの小さな部屋の中に、世界中の光が集まっているようでした。

映画「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」は、カナダで実在した女性画家モード・ルイスの人生をもとにした作品です。

静かな映像の中にあるのは、貧しさや孤独の中でも人を愛し続けた一人の女性の生き方です。

この映画は、ただの伝記ではなく、「生きることそのものが芸術」というテーマを、モード・ルイスという人の手で描き出しています。

 

目次

映画「しあわせの絵の具」実話のモデルは誰?

映画「しあわせの絵の具」実話のモデルは誰?映画と実話の違いも紹介

モード・ルイスは1903年、カナダ東部ノバスコシア州の田舎町で生まれました。

幼い頃から関節リウマチを患い、手足の自由がきかず、成長しても小柄な体のままでした。

家庭では病を理由に役立たずと見られ、兄のチャールズ以外に寄り添う人は少なかったそうです。

絵を描くようになったのは、外の世界とうまく関われなかったことがきっかけでした。

落書きのように始めた花や鳥の絵は、やがて自分の心を支える大切な世界になります。

絵の具もキャンバスも高価で買えなかったため、木の板や壁、窓枠など、描ける場所はすべて作品になりました。

この小さな家の中の自然こそ、モード・ルイスの人生そのものです。

 

モードとエベレットの出会い

1938年、モード・ルイスは魚の行商人エベレット・ルイスの家で住み込みの家政婦として働き始めます。

最初は冷たい態度をとっていたエベレットも、モードが少しずつ家を明るくしていく姿を見て、心を開いていきました。

映画でも印象的に描かれていますが、モードがペンキで小屋の壁に花を描くシーンは、まるで家に命を吹き込んでいるようでした。

やがて二人は結婚します。

二人の暮らしは豊かとは言えませんでしたが、モードの絵を見た人たちが次第に小屋を訪れるようになり、作品は口コミで広がっていきました。

新聞に紹介されたり、訪問客から直接注文が入るようになったのもこの頃です。

 

世界に届いた「小さな絵」

モード・ルイスの作風は、プロの画家たちのような技術的なものではありませんでした。

絵には遠近法も陰影もほとんどなく、鳥や花、家や人がシンプルに並びます。

けれど、その素朴さが人の心を打ちました。

見る人が懐かしい気持ちになる、温かくて真っ直ぐな絵だったのです。

モード・ルイスの作品はやがてカナダ中に知られるようになり、アメリカの大統領夫人までが絵を注文したこともありました。

しかし有名になっても、モードはあの小さな家を離れようとしませんでした。

不自由な手で筆を持ち、窓の外に見える風景を描き続けました。

「外に行けないなら、外をここに描けばいい」――そう言って笑ったと伝えられています。

 

映画「しあわせの絵の具」映画と実話の違い

映画「しあわせの絵の具」実話のモデルは誰?映画と実話の違いも紹介

映画「しあわせの絵の具」は本当にあった話をもとにしていますが、描き方は少し違います。

実際のモード・ルイスの生活は、静かで地味で、季節がゆっくり進むような時間の流れでした。

映画は感情をはっきり見せるために、少し派手に、起伏をつけています。

 

愛の描き方の違い

映画の中のモード・ルイスとエベレット・ルイスは、ぶつかり合ったり、仲直りしたりを繰り返します。

セリフのひとつひとつが強く、関係が目に見えるように描かれています。

実際のエベレット・ルイスはあまり話さない人で、表情も少なく、口より手を動かすタイプでした。

モード・ルイスが絵を描いている間、来客の対応や魚の行商をこなし、暮らしを回していました。

映画では激しい言い争いや感情の爆発がありますが、実際はもっと静かで、長い時間をかけて気持ちが育っていったようです。

小屋の中での生活は派手さはなくても、互いに必要とする気持ちがゆっくり積み重なっていきました。

モード・ルイスの絵の優しさには、エベレット・ルイスの小さな気づかいがにじんでいたと思います。

 

芸術家としての違い

映画のモード・ルイスは明るく元気で、まるで子どものような素直さを持っています。

実際のモード・ルイスは、もう少しおだやかで、考え込む時間が多かったそうです。

関節リウマチのせいで手足が痛み、筆を持てない日もありました。

それでも客が来れば笑顔で迎え、話をして、描ける時は少しでも筆を動かしました。

映画では、カラフルな絵の具や美しい光が印象的です。

けれど実際のモード・ルイスは、安いペンキを数色だけ使っていました。

赤、青、白、黄色。その限られた色を混ぜずにそのまま塗り、家の壁やドア、窓枠まで描いていきました。

道具も環境も整っていませんでしたが、描かれた絵は不思議と明るく、見ている人の気持ちをほぐします。

色が多いわけではなく、暮らしの中の光をそのまま写していたからでしょう。

 

暮らしと絵のつながり

映画に登場する小屋はきれいに整って見えますが、実際の家はとても小さく、冬はすきま風が入って寒かったそうです。

暖炉のそばでペンキを乾かしながら、モード・ルイスは壁や家具に花や鳥を描きました。

玄関には「絵を売っています」と書いた小さな看板。

通りがかりの人が1枚、また1枚と買っていき、口コミで評判が広がりました。

映画では新聞や有名人が登場し、物語が大きく動きます。

けれど現実は、もっと地味で手作りの広がり方でした。

近所の人が友達を連れて来たり、手紙で注文が届いたり。

少しずつ知られるようになり、やがてアメリカの大統領夫人が注文したことで一気に話題になりました。

それでもモード・ルイスは値段を上げず、いつも通りのやり方で描き続けました。

 

モチーフの描き方

映画の中で繰り返し描かれるチューリップや牛、雪の風景は、モード・ルイスが実際に何度も描いていたものです。

けれど、同じ絵でも毎回少し違っていました。

鳥の向きが変わったり、花の数が増えたり。

天気や体調、気分で線が変わったそうです。

その日その日の手の感覚が、絵の中に残っていました。

映画はテンポよく、モード・ルイスの成長をまとめていますが、現実はもっと不揃いで、地道な日々の積み重ねでした。

色の置き方、筆の角度、その小さな違いが積もって、あの独特の世界ができあがったのです。

 

家族との関係

映画では兄のチャールズとの対立がはっきり描かれます。

実際も確執はありましたが、家族の間に何があったのかははっきりしていません。

お金の問題や、家の相続、モード・ルイスの病のことなど、いくつもの事情が重なっていたようです。

映画は分かりやすい線で描きますが、現実はもっとぼんやりとした灰色の関係だったように感じます。

 

晩年の違い

映画の最後は、モード・ルイスが病に倒れ、エベレット・ルイスが「最高の妻だった」と語ります。

実際の晩年も体は衰えていましたが、モード・ルイスは亡くなるまで絵を描き続けました。

1970年に息を引き取ったあと、エベレット・ルイスは同じ小屋で暮らし続け、壁に描かれた絵を大切に守りました。

今ではその小屋が美術館として保存され、訪れる人が絶えません。

映画は終わりを静かで美しく見せますが、現実のその後にも、別の温かさがあります。

小屋を残した地域の人たち、修復を続けた人々の努力によって、モード・ルイスの色は今も残っています。

 

モード・ルイスの作品が伝えるもの

モード・ルイスの絵は、どれも「悲しみの中の明るさ」があります。

華やかではないけれど、見る人を安心させる不思議な力があります。

雨の日の窓辺、雪の上を歩く牛、花畑を走る猫。

どの絵も、日常の風景をまっすぐに描いています。

 

絵の中にある「幸せの形」

映画を観たあと、自分の部屋にある何気ないものを見直したくなりました。

小さな花瓶、カーテン越しの光、湯気の立つカップ。

モード・ルイスが生きた時代も、絵の中の世界も、決して派手ではないのに、どれもが今を美しくしてくれます。

モード・ルイスにとっての幸せは、誰かに評価されることではなく、好きなものを描き続ける時間だったのでしょう。

 

絵が人をつなぐ

晩年、モードの家は観光名所になりました。

今ではその小屋が美術館として保存され、当時のまま展示されています。

壁一面に広がる花や鳥の絵を見ていると、筆を動かすたびにモード・ルイスが笑っていた気配を感じます。

そこには、孤独も悲しみも消えて、ただ優しい色だけが残っています。

 

まとめ

映画と実話の違いを知っても、この作品の温度は変わりません。

むしろ、実際のモード・ルイスの人生を知ると、映画の一つひとつの場面がより深く響きます。

貧しさや病気の中で笑っていられたのは、夢があったから。

誰かに愛されたからではなく、愛することをやめなかったから。

観終わったあと、静かな余韻が長く残りました。

絵を描くことも、誰かを想うことも、きっと同じ根っこから生まれているのだと思います。

「しあわせの絵の具」は、そうした人間の強さと優しさを、モード・ルイスという一人の画家を通して教えてくれる映画です。

小さな筆跡のひとつひとつに、人生のすべてが詰まっています。

どんなに不器用でも、美しいものを信じ続けることができれば、それだけで十分生きる価値がある――この映画を見終わったあと、そう感じました。

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