実話ベースの伝記映画– category –

幼い頃に初めて「ラストエンペラー」を観た時、映像の美しさとは裏腹に胸の奥がざわつく瞬間がいくつかありました。 ストーリーとしては壮大で、画面の色使いも華やかなのに、登場人物が置かれる状況はどこか痛ましく、言葉にしづらい感情が後から押し寄せ...

「ラストエンペラー」は、中国清王朝最後の皇帝・愛心覚羅溥儀の自伝「わが半生」を原作に、イタリア、イギリス、中国が共同で制作した壮大な歴史映画です。 紫禁城での大規模な撮影が話題になり、アカデミー賞では作品賞を含む9部門すべてを受賞したこと...

アメリカ音楽を語る時、ジョージ・ガーシュインという名前を避けて通ることはできません。 あの伸びやかな旋律や、街のざわめきをそのまま鍵盤に移したようなリズムを初めて聴いた時の感覚はいまでも残っています。 そんなガーシュインの半生をもとに作ら...

幼い頃からピアノに心を奪われ、アメリカ音楽の土台を築いたジョージ・ガーシュイン。 映画「アメリカ交響楽」は、38歳という若さで生涯を終えるまでの凝縮された人生を、音楽そのものが語り手のように流れていく作品です。 フィクションを交えながらも、...

グレース・ケリーという名前を聞くと、まず最初に浮かぶのは白いドレスに包まれたあの気品ある姿でした。 けれど映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」を見ている途中で、そのイメージが自分のなかで少しずつ変わっていきました。 スクリーンにいる...

映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」は、ハリウッドのスター女優だったグレース・ケリーがモナコ公妃として歩いた数年間を描いた物語です。 映画としての脚色はありつつ、史実をもとにした政治的な緊張や王室内部の軋みが丁寧に盛り込まれていま...

インド独立の象徴として語られるガンジーの人生は、歴史の中の偉人というより、迷いながら選択を続けた一人の人間でした。 映画「ガンジー」は巨大なスケールで人物像を描いていますが、実生活のガンジーには映画からはこぼれ落ちる細かな葛藤が積み重なっ...

映画「ガンジー」は、教科書で知っていた名前が、まったく違う質量で迫ってくる作品でした。 温和な印象で語られがちな人物ですが、実際の人生は葛藤と決断の連続で、選択するたびに命が薄く削られていくような時間だったのだと感じます。 非暴力という言...

映画「ゾラの生涯」を見終えたあと、静かに胸の奥に残ったのは言葉ひとつで世界が変わる瞬間って本当にあるんだろうかという感覚でした。 単なる伝記映画ではなく、ひとりの作家が理不尽な現実と向き合い、文章を武器にして社会の扉をこじ開けようとした物...

映画「ゾラの生涯」は、フランス文学を代表する作家エミール・ゾラの人生を、歴史的事件「ドレフェス事件」と重ねて描いた作品です。 作家としての成功だけでなく、世論を動かすために巨大な権力に立ち向かう姿まで丁寧に描かれています。 特にゾラ自身が...