映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」は、英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの人生を、老年期の回想と若き日の挑戦を行き来しながら描くヒューマンドラマです。
政治の世界で勝ち続けた強さだけではなく、夫デニス・サッチャーとの時間や、老いと記憶の揺らぎまで丁寧に映し出していきます。
ここから先は結末まで触れるネタバレ解説です。
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映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」解説



2011年制作のイギリス映画で、監督はフィリダ・ロイド。
キャッチコピーとして語られる「世界を変えたのは、妻であり、母であり、ひとりの女性だった」という言葉どおり、首相としての決断だけでなく、家庭の時間や孤独も含めてサッチャーの人生が描かれます。
主演のメリル・ストリープはマーガレット・サッチャー役で強烈な存在感を見せ、第84回アカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。
キャスト一覧
- マーガレット・サッチャー:メリル・ストリープ
- デニス・サッチャー:ジム・ブロードベント
- キャロル・サッチャー:オリヴィア・コールマン
- ゴードン・リース:ロジャー・アラム
- アルフレッド・ロバーツ:イアン・グレン
- エアリー・ニーブ:ニコラス・ファレル
- ジェフリー・ハウ:アンソニー・ヘッド
- ジョン・メージャー:ハリー・ロイド
- ミハイル・ゴルバチョフ:リチャード・ディレイン
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」あらすじ・ネタバレ
映画は、元首相マーガレット・サッチャーが近所の店で買い物をする場面から始まります。
牛乳の値段に驚き、新聞の爆破事件の記事に目を止め、どこか落ち着かない表情で帰宅します。
家では夫デニス・サッチャーと朝食を取っているつもりで会話が進みますが、現実の食卓にはマーガレット・サッチャーしかいません。
家政婦の呼びかけや、娘キャロル・サッチャーの視線が、老いと認知症の気配をはっきり示します。
亡くなったデニス・サッチャーの姿が見え、声が聞こえる状態が、この映画の時間の流れを作っていきます。
父の言葉が根っこに残る:戦時下の記憶
マーガレット・サッチャーの回想は第二次世界大戦中の英国へ飛びます。
空襲警報が鳴る中、防空壕へ避難しながらも、父アルフレッド・ロバーツの「バターに蓋をしたか」という一言で外へ出る場面が描かれます。
危険の中でも役割を果たす、家の商売を止めない、生活を守る。
その価値観が幼いマーガレットの中に残り続けます。
翌日も店を開ける父アルフレッド・ロバーツの姿を見て、マーガレットは「人に流されない」「自分の道を行く」という言葉を胸に刻み、勉学へ向かいます。
周囲が華やぐ時間に背を向け、オックスフォード大学へ進む流れが、後の政治人生の導線になります。
デニスとの出会い:政治の入口で感じた屈辱
若いマーガレットは政治家の集まりに参加し、そこでデニス・サッチャーと出会います。
食事のマナーに戸惑うマーガレットを、デニス・サッチャーがさりげなく助ける場面があり、距離が縮まっていきます。
会話が政治へ移ると、マーガレットは意見を求められ、はっきりと主張します。
しかし、男社会の空気は露骨で、マーガレットの発言を軽く扱う反応も出てきます。
マーガレットは引かずに言い返し、デニス・サッチャーが小さく笑う。
この瞬間に、マーガレットが今後ずっと立ち向かう世界の硬さが見えます。
結婚、母になること、政治家になること
1950年、マーガレットは保守党から下院議員選挙に挑みますが落選します。
落ち込むマーガレットを支えたのがデニス・サッチャーで、デニス・サッチャーは結婚を申し出ます。
マーガレットは「家事や育児に自分を閉じ込めたくない」という本音をぶつけますが、デニス・サッチャーはその性格ごと受け止めます。
二人が「シャル・ウィ・ダンス」に合わせて踊る場面は、政治とは別の場所で生まれた支えとして、後の老年期にも繰り返し現れます。
その後、マーガレットは双子のマークとキャロルを出産し、家庭を築きながら政治活動を続けます。
1959年に下院議員に初当選すると、政治の比重が一気に増えていきます。
子どもとの約束が守れない日が増え、家庭の罪悪感と、前へ進みたい気持ちがぶつかります。
映画はここを美談にせず、家族の温度差として描くので、観ていて少し胸が痛くなります。
男性だらけの議場:紅一点としての戦い
政治の現場は、女性が入ることを前提に作られていない世界です。
ヤジ、怒号、見下す視線が飛び交い、マーガレットは外見や声まで矯正するように求められます。
マーガレットはボイストレーニングに取り組み、演説を磨き、支持を積み上げていきます。
1970年に教育科学相となり、労働組合や財政の議論で強く主張する姿が描かれます。
当時の英国はストライキが頻発し、ゴミ問題や停電など生活の混乱が広がっていました。
マーガレットは妥協ではなく改革を選び、党内でも異論を唱えます。
党首選への挑戦と、支えを失う痛み
1974年、マーガレットは保守党党首選に立候補する決意をします。
台所でデニス・サッチャーと衝突する場面は、国を動かす決断が、家庭の中ではただの不安や怒りとして響くことを示します。
マーガレットは「義務」と言い、デニス・サッチャーは「野心」と言う。
どちらも本音で、どちらも間違いではないように見えるのが苦いところです。
マーガレットを後押ししたのがエアリー・ニーブで、「信念を貫け」と背中を押します。
しかし、エアリー・ニーブは爆弾テロで暗殺されます。
マーガレットが現場を目撃する描写が入り、政治が言葉だけで完結しない世界であることが突き刺さります。
1979年、英国初の女性首相へ
総選挙を経て、マーガレット・サッチャーは英国初の女性首相になります。
首相官邸に入る姿は華やかですが、表情は勝利だけでなく責任の重さも混ざっています。
首相就任後、経済改革に踏み込みますが、最初の二年間は成果が見えにくく、国民の反発と議会の批判にさらされます。
デモの怒号が画面を埋め、マーガレットが罵倒される場面も出てきます。
それでもマーガレットは「苦い薬でも飲まないと国が持たない」という姿勢で押し通します。
1982年フォークランド紛争:強さの代償
1982年、フォークランド紛争が起こり、マーガレットは武力行使を決断します。
外交の圧力や財政の不安がある中でも、侵略を許さない姿勢を崩しません。
戦争は勝利へ向かいますが、多くの犠牲が出ます。
マーガレットが遺族へ手紙を書く描写が入ることで、強硬さの裏側にある重さも伝わってきます。
勝利によって支持が高まり、マーガレットは「鉄の女」としての輪郭を濃くしていきます。
1984年のホテル爆破:死が背後に立つ瞬間
1984年、グランドホテルで爆破テロが発生します。
深夜に原稿を推敲していたマーガレットのもとで爆発が起こり、ガラスが飛び、建物が崩れます。
砂埃の中でデニス・サッチャーを探す場面は、首相という役割が一瞬で剥がれ、家族を探す人間の顔になります。
この体験が老年期のマーガレットを苦しめ続け、新聞の見出し一つで記憶が跳ねる理由になります。
長期政権の終盤:孤立と反発が増えていく
任期が長くなるほど、党内の反発が強まっていきます。
統一通貨をめぐる姿勢、人頭税の導入などで批判が噴き出し、周囲が「妥協」を求める一方で、マーガレットは「信念」を優先します。
かつて味方だった閣僚が離れていき、ジェフリー・ハウの辞任が流れを決定づけます。
ジョン・メージャーが党首選に出ることで、退陣の現実が迫ります。
マーガレットは票固めに動きますが、時すでに遅く、1990年に首相を退任します。
赤いスーツで去る姿は、勝利の色にも見え、敗北の色にも見えます。
結末:デニスを手放す作業と、静かな余生
老年期のマーガレットは、デニス・サッチャーの遺品整理を始めます。
マーガレットの視界にはデニス・サッチャーが現れ、皮肉を言い、励まし、時に背中を押します。
しかし、現実にはデニス・サッチャーはもういません。
マーガレットは服や靴を袋へ詰め、最後にスーツケースを渡し、デニス・サッチャーが光の方へ歩いて消える場面で、喪失が決定的になります。
「まだ行かないで」という気持ちがこぼれる一方で、デニス・サッチャーは「ひとりでも生きていける」と言葉を残します。
ラストは、マーガレットが日常へ戻っていく姿で終わります。
ティーカップを洗い、娘キャロル・サッチャーと家政婦に支えられながら、静かな余生を送る。
世界を動かした名前が、家の中では小さな生活音に包まれていく。
その落差が、この映画の一番の涙腺かもしれません。
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」感想
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を観て、まず感じたのは「強い人の物語だと思っていたのに、想像以上に静かで寂しい映画だった」ということでした。政治の世界で頂点まで登りつめた人物の伝記映画というより、一人の人間が老いていく過程をそっと覗き込むような感覚が残ります。
メリル・ストリープが演じるマーガレット・サッチャーは、とにかく圧倒的でした。声の抑揚や歩き方、視線の置き方まで作り込まれていて、演技というより「そこに存在している」ように感じます。ただ、その迫力以上に心に残ったのは、台所や寝室といったごく私的な空間で見せる弱さでした。首相だった時間よりも、元首相として過去と向き合う時間のほうが長く描かれている点が、この映画の独特なところだと思います。
特に印象に残ったのは、亡くなった夫デニスとの会話です。現実にはいない存在なのに、日常の中で自然に言葉を交わし、時に叱られ、時に支えられる姿が切なくて、観ている側も現実と記憶の境目が曖昧になります。政治的な判断の是非よりも、「長い人生の最後に何が残るのか」を突きつけられているようでした。
首相時代の描写については、意外とあっさりしていると感じました。フォークランド紛争や経済改革といった大きな出来事は描かれますが、英雄的に持ち上げる演出は控えめです。その代わり、決断の裏側にあった孤独や、周囲との溝が静かに積み重なっていく様子が伝わってきます。支持を集めるほど、近くにいる人が減っていく感覚が、画面越しにも伝わってきて、少し息苦しくなりました。
また、この映画は「女性初の首相」という点を強調しすぎないところも好印象でした。差別や偏見は確かに描かれますが、闘う姿を誇張するのではなく、当たり前のように受け止め、前に進んでいく姿が淡々と描かれます。その淡々さが、逆に重く響きました。
観終わったあと、爽快感やカタルシスはあまり残りませんでした。代わりに、静かな余韻が長く続きます。成功とは何か、強さとは何か、そして人生の最後に本当に支えになるものは何なのか。そんなことを考えさせられる映画だったと思います。派手な伝記映画を期待すると少し肩透かしかもしれませんが、人の弱さや老いに目を向けたい気分のときには、心に深く残る一本です。
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まとめ
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」は、英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの成功だけを描く作品ではありません。
政治の頂点に立った時間と同じくらい、老いと記憶、そして失われた日常と向き合う時間が丁寧に描かれています。
強い意志と信念を貫いた姿の裏に、孤独や迷い、夫デニス・サッチャーへの深い愛情があったことが静かに伝わってきます。
首相としての決断や歴史的事件はもちろん見どころですが、この映画の本質は「強さのあとに残るもの」に目を向けている点にあります。
メリル・ストリープの演技によって、マーガレット・サッチャーは偉人ではなく、一人の人間として立体的に映し出されます。
派手さはありませんが、観終わったあとに長く余韻が残る作品です。
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