映画「後妻業の女」は、単なるエンターテインメントとしてだけでなく、実際に起きた事件をもとにしていることでも注目されました。
この作品を見て気になった方も多いはずです。
実話の事件はどんなものだったのか、元になった人物はどんな人だったのか、そして映画との違いは何か。
そんな疑問を解きほぐしながら、映画の魅力や深みについても触れていきます。
映画「後妻業の女」とは
映画「後妻業の女」とは、高齢者を狙った婚姻詐欺をテーマにしたサスペンスドラマです。
主演の大竹しのぶさんが、遺産を狙って次々と結婚を繰り返す後妻業の女性を演じていて、その巧みな演技が話題になりました。
物語は遺産相続をめぐる駆け引きや家族の複雑な人間関係を描きながら、社会問題にも切り込んでいます。
原作は黒川博行さんの同名小説で、実際に起こった高齢者を狙う詐欺事件をベースにしていることもあり、現実味のあるストーリー展開が特徴です。
映画はエンターテインメントとして楽しめる一方で、後妻業という社会問題を知るきっかけにもなっています。
映画「後妻業の女」実話の事件とは?
映画「後妻業の女」は、実際に起こった関西青酸連続死事件をモチーフにしています。
関西青酸連続死事件とは?
この事件は2007年から2013年にかけて関西圏で発生した連続殺人事件です。
高齢の男性を狙い、遺産相続を目的にした毒殺事件として社会に衝撃を与えました。
事件の主犯とされる女性K(実名は報道で伏せられています)は、被害者の後妻や恋人として近づき、青酸化合物を使って殺害しました。
被害者と被害状況
被害者は主に70代から80代の男性で、健康状態が良くない方が多かったといわれています。
被害男性は、Kとの結婚や内縁関係の後、急に体調を崩し亡くなるケースが複数ありました。
事件全体で少なくとも数人の男性が被害にあったとされ、被害額は数億円にのぼるとも言われています。
Kの犯行手口と手際の良さ
Kは被害者に「健康食品」や「サプリメント」と偽って青酸入りのカプセルを飲ませていました。
青酸は摂取すると非常に短時間で呼吸困難などを引き起こし、被害者は病院に運ばれても原因不明のまま急死することが多かったです。
周囲も突然の死に不審を持つことはなく、長い間事件は発覚しませんでした。
さらに、Kは死亡後に遺産や生命保険金の受取人に名を連ねており、法的な相続手続きを速やかに済ませていました。
巧妙に遺言書を書かせたり、被害者の財産を掌握したりすることで莫大な利益を得ていました。
なぜ事件が発覚したのか?
事件は複数の男性が不自然な形で相次いで亡くなったことから、警察が捜査を開始したことがきっかけです。
被害者の家族や医療機関の通報、死亡診断書の内容に疑問が生じたことで、毒物検査が行われました。
検査の結果、青酸が検出されたため、警察はKを疑い逮捕に至りました。
裁判の経過と社会的反響
裁判ではKの計画的かつ冷酷な犯行が明らかになりました。
被告は一貫して犯行を否認しましたが、証拠は積み重なり、複数の死因が毒殺であると断定されました。裁判では遺族の証言や被害者の医療記録、青酸の入手経路などが詳細に調べられました。
事件の社会的反響は大きく、高齢者の遺産を狙った犯罪の怖さや、結婚や再婚のリスクについて改めて議論が呼び起こされました。
また、事件の報道により、「後妻業」という言葉が広く知られるようになりました。
映画「後妻業の女」元ネタの人物?
映画の原作は直木賞作家の黒川博行氏による小説で、実話をベースにしながらも複数の事件をもとにストーリーが作られています。
有名な後妻業事件の一つに筧千佐子のケースがありますが、映画のモデルとしては直接の関係はないとされています。
筧千佐子は多くの高齢男性と結婚し、莫大な遺産を手に入れたことで世間を騒がせました。
ですが小説は彼女が逮捕される前から書かれており、作者が知人の体験や全国で起きている類似事件を取材して構成したものです。
そのため、作品は特定の一人に焦点を当てているのではなく、後妻業という社会問題全体に切り込んでいます。
私としては、この映画がただのサスペンスで終わらず、実際の事件から学び取った「家族の絆」や「信頼とは何か」というテーマを深く描いている点に惹かれました。
現実の出来事を知ったうえで観ると、より考えさせられる作品だと思います。
映画と実話の元ネタの違い
映画ではストーリーをわかりやすく伝えるために、登場人物や事件の構造が整理されています。
実際の事件はもっと複雑で、関係者が多く絡んでいる場合も少なくありません。
現実の「後妻業」のケースは、詐欺だけでなく家族間の遺産争い、法律的な手続きの問題も深く絡み合っています。
映画はそのあたりを簡潔にし、視聴者が理解しやすいように脚色されています。
映画はエンターテインメント性が強く描かれている
実話は非常に重く、被害者の苦しみも深刻ですが、映画ではその重さを和らげるためにコメディ要素やキャラクターの魅力を強調しています。
たとえば大竹しのぶさんの演技はコミカルながらも鋭く、観客に楽しんでもらえるように調整されています。
実際の事件はここまで感情の起伏が激しくなく、もっと淡々と進むケースも多いのです。
登場人物の設定や展開に創作が多い部分もある
映画の中で描かれる人物像や特定の事件の経過は、原作小説や映画の脚本家が作り上げたフィクションが多く含まれています。
たとえば、主人公の女性のキャラクター設定や、ラストの展開などは、実際の事件の記録にはないオリジナルの要素です。
これはストーリーとしての面白さやメッセージ性を高めるために必要な脚色であるといえます。
このように、映画「後妻業の女」は実話をもとにしつつも、多くの部分で創作や演出が加えられているため、リアルな事件とは違う側面も持っています。
だからこそ映画として観やすく、心に残る作品になっているのかもしれませんね。
まとめ
後妻業の事件は、単なる犯罪の枠を超えて社会問題としても注目されました。
高齢化社会が進むなかで、孤独な高齢者が増え、その弱みにつけこむ犯罪は今後も注意が必要だからです。
映画を観ていても、どこか背筋が寒くなるのはこうした背景があるからでしょう。
私も自分の家族や周囲の人たちを思い浮かべて、こんな事件に巻き込まれないかと考えたりしました。
映画が終わったあとも、ただ笑って済ませられないものが残るのは、こうしたリアルな社会の闇を映し出しているからかもしれません。
U-NEXTの無料トライアルを使えば、この映画を手軽に観ることができます。
実話の事件の詳細を知ったうえで観ると、また違った視点で楽しめるはずです。
ぜひ気軽に試してみてほしいですね。
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