映画「アムステルダム」は「実話が元」と言われますが、映画で起きる殺人事件や逃亡劇が本当にあったわけではありません。
元になっているのは1930年代アメリカで実際に問題になった「ビジネスマンたちが退役軍人を使い、政府に圧力をかけようとした」という計画です。
この計画は元海兵隊少将スメドリー・バトラーの証言によって議会で調査されました。
ただし、映画に出てくるバートやハロルド、ヴァレリーのような人物は存在していません。
この記事では「実際にあった出来事」と「映画のために作られた話」をはっきり分けて説明します。
それでは最後までお読みください。
映画「アムステルダム」どこまで実話?

映画「アムステルダム」はどこまで実話でどこから映画の演出なのか解説します。
元になったのは「クーデター計画が持ち込まれた」という証言
映画の土台に近いのは、1930年代に「有力者たちが、退役軍人の組織を使って政治を動かそうとした」という疑いです。
海兵隊のスメドリー・バトラー少将が、議会の調査委員会に「計画の話を持ちかけられた」と話し、委員会側も「その話は文書などで裏づけられた」と記録に残しています。
この件は後に「ビジネス・プロット」や「ウォール街の陰謀」などの呼び名で語られます。
呼び名は派手ですが、史実として押さえる点は「計画が実行された」よりも、「計画の相談が持ち込まれ、議会で調査された」という部分です。
映画が史実から借りた要素
映画の中には、戦争帰りの人々が集まる場面、国を動かす側の金の匂い、英雄を担ぎ上げる空気が出てきます。
こういう要素は、当時のアメリカに実際に存在した空気と接続しています。
「アムステルダム」の宣伝文にも「歴史的事実とフィクションを織り交ぜた」と書かれていて、映画側が最初から「全部が史実」とは言っていません。
主人公3人の人生と殺人事件
バート、ハロルド、ヴァレリーの3人の友情、アムステルダムでの生活、ニューヨークで巻き込まれる殺人事件と逃亡劇は、映画として走らせるための装置です。
史実の記録を読んでも、同じ流れの事件は出てきません。
自分は初見のとき、将軍の周りで起きる事件が全部史実の再現に見えてしまって、途中で「この話はどこからが映画なんだ?」と混乱しました。
映画を史実の再現だと決めつけないだけで、見え方が変わります。
映画「アムステルダム」と史実の違い
ここからは「映画で印象に残りやすい場面」を、史実と比べます。
「将軍」という存在
映画に出てくる将軍ギル・ディレンベックは、史実の誰か1人をそのまま写した人物ではありません。
モデルとしてよく名前が挙がるのはスメドリー・バトラーですが、映画は名前も立場もそのまま使っていません。
ここが大事で、映画は「実在の人物の伝記」を撮っていません。
映画がやっているのは「当時あり得た動き」を、架空の人物に背負わせる作り方です。
クーデター計画の描き方
映画は、黒幕がいて、計画があり、正体を暴けば決着するという一本線で進みます。
観客が置いていかれないために、話を細くします。
一方で史実は、証言があって、委員会が調べて、文書などで「裏づけがある」と書かれた、という形です。
裁判で白黒をつける決着とは別の種類の終わり方です。
映画の「殺人」「追跡」「華やかな社交界」は、史実の中心ではない
映画は「将軍の死」や「口封じの殺し」を強く見せます。
ここがサスペンスとしての推進力になります。
でも、ビジネス・プロット周辺の話として広く語られるのは「計画を持ち込まれた」「議会が調査した」という部分で、映画みたいな殺人事件の連鎖が史実の中心にあるわけではありません。
映画は、史実の話題を芯にして、別の事件を積み上げていると考えた方が合います。
史実で言われる企て
映画の説明でよく出てくるのは「企業に都合のいい独裁者を据える」といった語りです。
レビューでも、ムッソリーニやヒトラーのようと説明されることがあります。
ただ、史実の細部は資料の読み方で揺れます。
だから「映画のセリフの通りに計画があった」と決めつけるより、「当時そういう話が出て、議会の調査対象になった」と押さえる方が安全です。
「アムステルダム」という場所そのものは、史実の事件名ではなく映画の舞台装置
史実側で有名なのは「ビジネス・プロット」や「ウォール街の陰謀」で、アムステルダムが事件名として出てくるわけではありません。
映画がアムステルダムを置いたのは、戦争帰りの負傷、暮らしの匂い、3人だけの避難場所を作るためです。
ここは史実の説明より、映画のテーマのための場所です。
まとめ
映画「アムステルダム」の元になっているのは、1934年に表面化したクーデター未遂と呼ばれる騒動です。
裕福な実業家の一部が、退役軍人を集めて大統領に対抗する組織を作ろうとしたとされ、その話を持ちかけられたスメドリー・バトラーが議会で証言しました。
これがいわゆる「ビジネス・プロット」と呼ばれる事件です。
ただし、映画の中心になる殺人事件、3人の友情、逃亡、黒幕との直接対決は史実ではありません。
史実側では銃撃戦もカーチェイスも起きていません。
計画は証言の段階で止まり、実際に政府転覆が実行されることはありませんでした。
つまり映画は「本当にあった政治スキャンダル」を土台にしながら、人間関係と事件を大きく作り替えた作品です。
歴史の再現ではなく、実在の出来事をヒントにしたサスペンス映画です。
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